家庭のゴミなどをルールを無視して投棄する「不法投棄」は、マナー違反というよりは刑事罰の対象となる犯罪行為です。
そして、この不法投棄は、社会全体で不法投棄をチェックする仕組みがあるので必ずバレてしまいます。
不法投棄が必ずバレるのには理由があるようです。
この記事では、家庭のゴミなどの不法投棄がバレる理由、不法投棄をした場合の刑罰、不法投棄のトラブルに巻き込まれてしまった場合の対応方法などを詳しく解説します。
ぜひご参考にしてください。
1.「不法投棄」とは
一般的には、ゴミの捨て方や捨てる場所、捨てる方法などのルールに違反をした際「不法投棄」という言葉が使われています。
しかし、法的には、「廃棄物」を法律で定められている方法に従わずに処分する行為のことを「不法投棄」といいます。
2.「廃棄物」とは
例えば以下ようなものです。
A:燃え殻
B:廃油
C:粗大ごみ
D:動物の死体
E:廃酸
F:廃アルカリ
G:その他汚物や不要物
3.法律の規定
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」の第16条では「何人(なんぴと)も、正当な理由がないのに廃棄物を捨ててはならない」とされています。
そのため、家庭のゴミなどの廃棄物を他人の敷地や山中・河川敷などの自然に捨てることは不法投棄となり、罰則を受けることになるでしょう。
例えば、以下のようなケースが、大量にしかも常習的に行われている場合は不法投棄、すなわち廃棄物処理法違反とされることがあります。
・指定された曜日にごみを出さない
・分別しないで家庭のゴミを出す
・指定された場所にごみを出さない
4.不法投棄の事例
代表的な事例をご紹介します。
・空いたアパートの部屋の片づけを有償で依頼されたが、運び出した家庭のゴミを近隣のコンビニの駐車場に投棄した
・解体工事によって発生した廃棄物を他人の資材置き場などに捨てた
・開業医が高速道路のサービスエリアに設置されているごみ捨て場に注射針などの医療廃棄物を繰り返して投棄した
5.不法投棄で受ける刑罰
不法投棄を行った場合は当然ながら処罰されます。
不法投棄の刑罰を具体的にご紹介しましょう。
5-1.個人の場合
廃棄物処理法第16条の違反となり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられます。
なお、個人の場合は「軽犯罪法」の罰則が適用され、拘留または科料という軽い処分がくだされることが多いようです。
5-2.法人の場合
「産業廃棄物」を排出した事業者は、廃棄物処理法に定められた以下の処分がくだされます。
不法投棄した者は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられ、さらに法人にも3億円以下の罰金が科せられます。
5- 3.不法投棄目的による廃棄物の収集・運搬
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
6.不法投棄がバレる理由
人知れず行われる不法投棄ですが、必ずバレるものです。
以下、その理由をご説明しましょう。
6-1.パトロール
街中のみならず郊外や山あいなども警察が広範囲に渡ってパトロールしています。
不審者や不審点があればただちに職務質問を行います。
6-2.防犯カメラ
不法投棄が頻繁におこなわれている場所では、防犯カメラが設置されていることが多いようです。
6-3.目撃者
不法投棄を発見した一般の住民が警察に通報することもあります。
6-4.個人情報や製造番号
投棄された家庭のゴミなどに残された個人情報や製造番号などから持ち主がバレることがあります。
7.弁護士のサポート
廃棄物処理法の違反である不法投棄は厳しい刑罰を受けることになります。
不法投棄の容疑をかけられたり、トラブルに巻き込まれたりした場合は、以下の目的のためにも早々に弁護士のサポートを受けなければなりません。
7-1.逮捕を免れる
不法投棄を行ったからといって必ずしも逮捕されるわけではありません。
逮捕には、「逃亡または証拠隠滅を図るおそれ」が被疑者にあることと、裁判官が許可した場合の2つの条件が必要です。
従って、逃亡や証拠隠滅のおそれがなければ逮捕されることはありません。
また、逮捕された場合は最大で23日間身柄拘束を受けます。
弁護士の働きで、早期釈放を実現することが可能です。
また、逮捕されずに任意の取り調べのみを受けることも可能で、その場合は、仕事も継続でき普段どおりの生活を送ることができます。
7-2.不起訴になる
検察官が不法投棄を刑事裁判として提起した場合は、廃棄物処理法に従って、高額の罰金などの刑罰を受けるのが通常です。
しかし、弁護士に依頼して起訴されないように働きかけてもらうことも可能です。
たとえ、起訴になったとしても、弁護士の主張によって、刑罰を軽くできます。
8.まとめ
人知れず不法に家庭のゴミなどを廃棄したと思っていても、必ず犯人として特定されてしまうものだということがご理解いただけたと思います。
法律をしっかり守って、不法投棄を世の中から撲滅したいものですね。
そして、万一、不法投棄の疑いをかけられたりトラブルに巻き込まれたりした場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
不当な逮捕を免れるとともに、不法投棄を行ったことに対する刑罰が少しでも軽減されることが期待できます。