事件や事故が発生した現場や、孤独死により傷んでしまった部屋、ゴミ屋敷などを元の状態に戻す仕事を請け負う人を「特殊清掃員」といいます。
普通の清掃員とは異なる特殊清掃員ですが、働くために資格は必要なのでしょうか。
今回は、特殊清掃員に関する資格や免許について解説します。
特殊清掃員の仕事について
特殊清掃員は特殊な清掃する仕事ですが、実際には他にもさまざまなことをしています。
具体的な仕事としては以下のようなものがあります。
・遺品や不用品の整理や買い取り
・遺品や不用品の廃棄
・害虫駆除
・消臭や脱臭
・腐敗物処理
・リフォーム
このような仕事の中には、資格や許可を得なければ仕事として請負えない場合があります。
資格・免許・許可は必要?
特殊清掃の会社に入り、特殊清掃員として働くためには、特定の資格や免許を所持しなければならないということはありません。
ですが、特殊清掃の会社を立ち上げようとした場合には、必要な資格や、あるとよい資格や免許・許可などがあります。
古物商許可及び産業廃棄物収集運搬業としての許可
特殊清掃の現場では、不要となったものや遺品を整理することがあります。
全てをゴミとして処分することも可能ですが、リユース可能なものであれば買い取るケースもあります。
不用品や遺品を買取る際は「古物商」として許可を得る必要があります。
また買い取りしたものの、実際には販売できるものではない、リユース不可能といったものがあります。
このようなものを処分するときには、産業廃棄物として処理しなければなりません。
特殊清掃の現場で発生した廃棄物と共に運搬するためには、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けておく必要があります。
内装仕上工事業としての許可
原状回復のため500万以上のリフォームを実施する場合には、内装仕上工事業の許可を取得しておく必要があります。
運転免許証
なくてはならない免許ではありませんが、特殊清掃では多くの機材を使用するため、運搬のために車を使用することがほとんどです。
運転免許証があればこのような機材の持ち運びが楽になります。
また廃棄物の運搬にも免許があるほうがよいでしょう。
事件現場特殊清掃士
近年需要が高まっている特殊清掃の知識をはかる民間資格が「事件現場特殊清掃士」です。
特殊清掃に必要な薬剤の使い方や消臭や脱臭の知識など、特殊清掃に必要な知識があることが認められる資格です。
今後、特殊清掃員として活躍したい場合には取得しておくとよいでしょう。
清掃作業監督者と建築物清掃業としての登録
建築物の中を清掃する事業を営むときには、各都道府県に対して「建築物清掃業」として任意登録することになっています。
任意登録なので登録しなくても問題がありませんが、登録することで自治体から認められた事業者としてアピール可能です。
また登録するためには「清掃作業監督者」が必要です。
清掃作業監督者は清掃業監督者講習を受講し修了することで得られる国家資格です。
ビルクリーニングの職種に関わる資格を持つ人や、建築物環境衛生管理技術者の免状の交付を受けている人に受講資格があります。
防除作業監督者と建築物ねずみ昆虫等防除業としての登録
特殊清掃の現場では衛生状況が悪い場合が多く、ねずみや忌避害虫が発生していることもあります。
ねずみや忌避害虫の駆除を専門的に請け負う事業者に対し、任意登録を求めているのが建築物ねずみ昆虫等防除業の届出です。
登録するためには「防除作業監督者」が必要です。
防除作業監督者は、防除作業監督者講習会を受講し修了することで得られる国家資格です。
5年以上の実務経験がある人、もしくは高等学校卒業と同等の卒業資格を持ち、2年以上実務経験を有する人などに受講資格があります。
遺品整理士
特殊清掃の仕事は、遺品整理も合わせて実施することがあります。
そのため遺品整理士資格を取得しておけば、廃棄物に関する法律や知識、遺品整理を円滑に進めていくためのノウハウを持っていることが示せます。
知名度が高い民間資格なので、取得しておくとよいでしょう。
遺品査定士
遺品の買い取りをする際に、一般的な古物の買い取りとは違う状況を踏まえた買い取りが実施できることをアピールできる民間資格です。
特に遺品買い取りも実施しようとする場合には、取得を目指しましょう。
脱臭マイスター資格
もとは生活環境の臭気問題を解決するために、新しい脱臭技術を継承することや品質保証を目的とした民間資格です。
脱臭や消臭といった臭いの問題は、特殊清掃においては切っても切れない問題です。
資格取得の勉強が実務に活かせます。
まとめ
特殊清掃者として活躍するために必要不可欠な資格や免許などはありません。
しかし、知識や技術の習得は必須ですので、資格取得などを目指し勉強することはおすすめです。
ただし、特殊清掃の仕事するにあたり相当の体力や精神的な強さも必要です。
「需要が高そうなので始めてみよう」と、軽い気持ちではできない仕事でもあります。
特殊清掃者として仕事しようとするときには、まず知識や技術の習得のためにも特殊清掃を実施している会社に入り、実績を積むことが必要でしょう。