大がかりに家の中の不要な家具を捨てたり、整理したりすることを「生前整理」や「遺品整理」と言います。
「生前整理」と「遺品整理」はどこが違うのでしょうか。
両者の違いや生前整理を行うことのメリット、注意点について見ていくこととしましょう。
生前整理と遺品整理との違い
生前整理と遺品整理は、どちらも本人の所有する衣服、家具、食器などを処分したり整理したりする点は同じですが、その目的と誰が整理するのかは大きな違いがあります。
それぞれの違いをご説明しましょう。
生前整理
本人が生きている間に、本人の財産や持ち物を遺品整理することです。
以下の特徴があります。
・本人が所有者
・生前贈与など相続対策になる
・大切なものが誤って捨てられる心配がない
・家族の負担が少ない
・工夫すれば費用が節約できる
遺品整理
本人が亡くなったあと、本人の財産や持ち物を遺族が整理することです。
以下の特徴があります。
・相続対策にできない
・譲渡や処分の手続きが大変
・大切なものが誤って捨てられる可能性がある
・生前整理にくらべて処分の費用が高額になる
・遺族の負担が大きい
遺族の負担に関しては具体的に以下のケースがあります。
遺族が本人と同居していたならば、本人の持ち物を把握できますが、本人と同居してなかった場合は、遺族が本人の持ち物を把握するのは難しいでしょう。
また、相続に必要な貯金通帳や印鑑、大切な書類などがどこにあるのかもわからないので、相続の手続きがなかなか思うように進まないと思われます。
「生前整理」と「遺品整理」のどちらが大切?
では、「生前整理」と「遺品整理」とは違うものであることがわかりましたが、どちらの方が大切なのでしょうか。
答えは「生前整理」です。
理由は以下の3つの点があります。
1.自分の人生を振り返ることができる
自分の持ち物を片付けながら古い写真や思い出の品物を見ることで、過去の思い出がよみがえってきます。
生前整理をすることで、今の自分を見つめ直す機会が得られるでしょう。
2.残りの人生をポジティブに生きられる
生前整理は、死を迎えるためのネガティブなものではなく、充実した老後を迎えるための前向きなものです。
3.遺品整理が容易になる
老後のために元気なうちに持ち物の整理をしておけば、必要最低限のものだけが残り、すっきりとします。
4.相続のトラブルがなくなる
本人が亡くなれば、財産贈与について遺族間でトラブルとなるケースがあります。
生前整理をすれば財産関係の整理がされ、トラブルも軽減されるでしょう。
5.きれいな部屋で快適な生活がおくれる
生前整理をすると、不要なものを捨てるため部屋の中が片付き、すっきりします。
快適な部屋で生活していると、前向きな気持ちがわき起こってきます。
6.遺族が安心する
生前整理をしておくと、思い出の品物や残しておきたい大切なものを明確にしておくことができます。
相続の手続きに必要な印鑑や書類のありかを教えることも可能です。
そのため、遺族も安心ですし、いざ遺品整理となった時の手間も少なくすむことでしょう。
生前整理を行う際の3つの注意点
生前整理を行う際の注意点を解説します。
➀ スケジュールに余裕を持たせる
生前整理は、時間も体力もかかります。
途中でやめてしまうことのないように、ゆったりしたスケジュールを組みましょう。
② それでも遺品整理は必要
生前整理によって、不要な物をある程度処分できますが、すべての持ち物が無くなるわけではありません。
③ ケガに注意
生前整理は、家電や家具を大量に運搬するため、予想以上に重労働で体力を使います。
ケガには十分注意しましょう。
専門業者への依頼も検討する
体力的に1人での作業が難しい場合や、片付けるのがストレスになって作業が進まないといったこともあるかもしれません。
そういう場合は、専門の業者に依頼するという方法もあります。
業者に依頼する場合のメリットとして以下のものがあります。
1.作業時間が取れなくてもだいじょうぶ
生前整理は本人1人で行うのは大変なので、家族の協力が必要です。
その家族も自分の生活や仕事が忙しくてなかなか作業の時間をつくれない場合があるでしょう。
業者にまかせれば、経験・スキルを駆使したり、適正な人員を配置したりして、納期までに片付けを完了させることができます。
2.大型家具の処分が可能
家の中には、タンス、ベッド、本棚、食器棚といった大きな家具があります。
素人がこれらの大型家具を運搬するのは困難でしょう。
専門の業者ならこのような大型家具の運搬は慣れています。
3.間違った処分をする可能性が低い
専門業者なら、持ち主や遺族に確認しながら作業をしますので、勝手に大切な持ち物を廃棄してしまうようなことはありません。
4.部屋の掃除も可能
生前整理を進めながら、同時に部屋の掃除もしてもらえます。
まとめ
生前整理は、本人が生きている間に相続対策などの目的で行うもので、遺品整理は、本人の死後、遺族が本人の遺産を整理するために行うものという違いがあります。
本人が元気なうちに生前整理をやっておけば、すっきりした快適な老後の生活が送れますし、家族の負担も少なくなります。
生前整理をする際には、無理のないスケジュールで、ケガをしないよう注意して、ゆくゆくは遺品整理がほとんど不要になるようにしておくのが理想です。
そして、体力的な理由などで生前整理や遺品整理が難しいと思った場合は、迷わず専門の業者に依頼しましょう。